楽々自然農法の久理田農場の視察2
掲載日:2010年2月4日
自然農法なのでもちろん無化学肥料、無農薬です。しかも堆肥をすき込んだりせず、草マルチするだけ。でもこんなに立派なキャベツができます。草をかき分け苗を植え、植えたらまた草をそっと寄せておく、草の間からキャベツが出てくると、最初は虫にやられますが、最終的にはこんな立派なキャベツが育つそうです。白菜も同様にします。
久理田さんの作るキャベツは、肉厚で味も濃いキャベツです。大根や赤かぶも冬なので小さいですが、いただいて帰ってサラダにしたら、味が濃縮されている感じでした。葉は無農薬なのでみそ汁に入れ、それこそ余すところなくいただけます。味が濃いのはミネラルたっぷりの野菜という証拠。
久理田さんは、出回っている野菜は水っぽい野菜が多いが、これらは肥料過多の野菜で本来のおいしい野菜の味からはほど遠いと言っていました。またこのような野菜の葉脈はぐちゃぐちゃで、葉脈をみるとどんな育てられ方をした野菜かすぐにわかるそうです。肥料をたくさん与え、早く大きな野菜を育てようと欲を出すと葉脈がぐちゃぐちゃになっている、しかし、おいしい野菜は素直な葉っぱで葉脈もそろっていると言っていました。
写真の、冬でも草ぼうぼうの畑は、みょうが畑。みょうがの季節になると、みょうがのジャングルになるそうです。ここも40cmぐらいの草が敷き詰めてあります。
みょうが畑の向こう側に茶色っぽく積まれているのが、河川敷から運んでもらった草です。年に2回、県のから仕事を請け負った業者が河川敷の草を刈って少し河原に置き、嵩が減ったところで、久理田農場に運び込んでくれるそうです。その量はなんと1回で4t車で250杯分。これを1haの畑の半分に敷き詰めるそうです。
業者からしてみれば、通常なら廃棄物の処理費用を払って処分場に持ち込むところが、久理田農場に運び込めば処理費用はタダ、業者にとっても嬉しい話。運搬費はどのみちかかるため、久理田さんは費用を払わずに農場まで運んでもらっているわけです。
また、河原の草が良いのは、除草剤などがかかっていないためです。
久理田さんがこの農場で楽々自然農法を始めたのは5年前から。その前の方がやっていたときから、河原の草を運び入れてもらっていたそうで、10年分の草が畑には入っているそうです。草マルチは寒い時は寒さを防ぎ、暑いときは暑さを防ぐため、いわば、草を着せているということだと話されました。
久理田さんは、畑で教えてもらうことが多い、自分の思うようにはならず、自然に逆らわないようにやっていくことが大事で、軽い気持ちでやっている方が上手く行く、また、作物のことを思っていると、ちゃんと答えてくれると話されました。
久理田さんは作った作物は、NPO法人MOA自然農法文化事業団のMOA自然農法実施農地の認定資格をとり、MOAの流通経路で売ってもらったり、こだわりのスーパーで通常の野菜より2割ぐらい高く売ってもらっているそうです。市販の価格とかけ離れている値段はダメと言っていました。おかげで、久理田さんの野菜を待っている人がいるそうです。
久理田さんは淡路にいる時は、レンゲマルチによる稲の無農薬栽培をしていたそうです。9月にレンゲの種を蒔き、去年の株の間に籾を直播きするそうです。苗が10cmくらいになったら水をサーッと流し入れると、レンゲか倒れてレンゲマルチの出来上がり。後は収穫まで一切触らないそうで、このような農法で通常の田んぼで8俵とれるところ、自然農法なら10俵とれたそうです。通常の田んぼは稲と稲の間隔を空けないため、穂先が小さい稲になってしまいます。レンゲマルチでつくると大きな株の稲になるからです。
また、久理田さんは最初のときだけ水をサーッと流すだけで、水をずっと張っておくことはないそうです。通常のように8月はじめまで水をためたりしていると、メタンガスが発生し、根がやられ黒くなり、ウンカが発生すると話されました。
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久理田さんは「自然は一つ、作物は自然が作る、自然に反したら絶対に作れない」と仰っていました。また、不耕起、草マルチによって土の中の土壌菌が外気や直射日光に触れるのを防ぎ活性化し、ミネラルたっぷりな作物を育ててくれる、自然に逆らわないようにやっていく方が『楽』で『楽しい』というのが、久理田さんの『楽々自然農法』の意味だとわかりました。
久理田さんは、畑に生えた草だけで、薄く草マルチをするので良いというのですが、そうすると草がまた生えて来てしまいます。草が生えていても作物の方が上に出ていれば良いと思いますが、草の方が元気だったらどうなのか?という疑問は残りました。昔から草マルチの自然農はあったようですが、たぶん草を刈って作物の横に置く(マルチにする)ということを繰り返していたと思います。久理田さんのように、植えたら放っておくには、やはり大量の草で草マルチをする必要があるかもしれません。
家庭菜園程度なら、草を刈っては作物の横に置くやり方で良いと思いますが、久理田農場のように1haもある場合は、大量の草が手に入れる方法を考えなければなりません。でも、河川敷の草は結構処分に困っているんじゃないかと思います。以前、松本広域ゴミ焼却施設の中身の1/3が草や剪定木だと聞いたことがあります(施設が発行している報告書に書かれています)。草も久理田さんのように有効に使えば宝ですが、焼却炉で外のゴミと一緒くたに燃やせば焼却灰はダイオキシン入りの毒物となってしまいます。除草剤などが使われた草を除いて草を集め、農業に使う仕組みを創れば、『楽々自然農法』は十分可能です。
ドイツなどは、大きなコンテナを広場においてゴミの分別収集を行なっていました。ここには剪定木や草を入れるコンテナがありました。このようにすれば、地域で草を集めるのは可能になるし、草を農業に利用する仕組みを創れば、河川敷きの草も邪魔者ではなく宝となります。
『楽々自然農法』が広めることができれば、農薬や化学肥料を使って自然が破壊されないようにするだけでなく、ジャマでやっかいものの草をゴミ焼却炉で燃やして毒物をつくり出す今の廃棄物処理方法をやめさることが出来ます。『楽々自然農法』は、自然破壊や合成化学物質による健康被害をやめさせる可能性をもつものだと思いました。
また、有機農法と言って、都市下水道汚泥などを堆肥と称して畑に大量に入れる不法投棄が増えています。また、このような堆肥もどきは、不純物や合成化学物質、重金属などが入っている可能性があり、農家では使いませんが、ホームセンターなどで売られている場合もあります。有機農法が環境と健康を守る上では大事だということで、国も有機農業推進法をつくり、県は法をもとに有機農業推進計画をつくることとされ、長野県でも昨年計画がつくられ、来年度から実行に移すようです。しかし、有機と称して、田畑をゴミの捨て場にすることだけは避けなければなりません。
堆肥を入れず草を宝にする『楽々自然農法』は、自然とは何か、自然の恵みをいただいて農業を行なうということを、農業の基本におくことの大切さを、私たちに教えてくれていると思いました。
また、夏になって草や虫が元気な季節に久理田農場を訪れてみたいです。



